なかなか治らない慢性肩こりや腰痛では『ろっ骨の固さ』が原因になっているケースがあります。
誰でもできる簡単なストレッチで肩や腰・背中の筋肉gは緩み背骨が整い、肩こりや腰痛が改善します。
ろっ骨(肋骨)とは?
ろっ骨(ろっこつ、rib)は、胸部を覆う骨であり、脊椎・胸骨とともに胸郭を形成している。
細長く弓状の骨であり、胸椎から胸骨にかけて内臓を取り囲む形で付いている。後端では胸椎のろっ骨窩および横突ろっ骨窩と関節を形成し、前端では肋軟骨となり胸骨と結合する。人間のろっ骨は全部で左右12対あり、合計24本存在する。
看護師の用語辞典 | 看護roo![カンゴルー]より
『ろっ骨の固さが肩こりや腰痛の原因になる』と言われると、意外に感じる方も多いかもしれません。
当院を訪ねてこられる慢性肩こり腰痛患者さんの3分の2は、ろっ骨が固いケースが見受けられます。(骨の固さではなく、『ろっ骨の動き』の固さです)
ろっ骨は肺や心臓などの重要な臓器を守っています。
ろっ骨とろっ骨の間には『肋間筋』という筋肉があり、呼吸をするときにろっ骨を拡げたり締めたりして肺に空気を取り込んでいます。
また、頸椎や胸椎・肩甲骨などと関連する多数の筋肉もろっ骨につながっています。
運動不足や長時間のデスクワーク、不良姿勢、睡眠不足、ストレスなどがあると、ろっ骨周囲の筋肉が固くなり、上記(頸椎や胸椎・肩甲骨)周囲筋の働きが悪くなってしまうのです。
そしてろっ骨の動きが固くなると、次のような悪影響を及ぼし、慢性肩こりや腰痛が起こる原因となるのです。
■姿勢が悪くなる
■悪い姿勢でも空気を取り込もうとして、さらに肋骨周りの筋肉を働かせる
■足りない筋力を脊柱起立筋群・射角筋群などの筋肉で代償する
■上記筋が四六時中固くなるため、背骨の動きが悪くなり、腰に負担がかかる
■さらに呼吸が浅くなり、全身や脳の血行が悪くなる
ろっ骨は背骨につながっていますので、ろっ骨が固くなると背骨(頚椎・胸椎・腰椎)が固くなります。
背骨はブロック状の椎骨が繋がった構造をしています。
背骨が動く時、例えば身体を前に曲げたり後ろに反らしたりする時は、一つひとつの椎骨が少しずつ曲がったり反ったりして、全体として大きな動きが生まれます。
しかし、ろっ骨が固くなると、直接繋がっている胸椎部分の動きが悪くなってしまいます。
その状態で動こうとすると、他の部分、つまり腰(腰椎)や首(頸椎)がその動きを補うため、そこに大きな負担がかかります。
また脊柱起立筋群や斜角筋群など背骨の周囲の筋肉もろっ骨に付着しているものが多く、それらの筋肉も固くなってしまいます。
背骨やその周囲の筋肉が固くなると、背中から腰にかけて血行が悪くなり、疲労が回復しづらくなったり、老廃物がたまって発痛物質という痛みの原因となる物質が増えてしまったりします。
それだけでも肩や腰に痛みがおこりますし、さらに腰や背中の筋肉に筋スパズムと言われる発痛点が生じたりすると、さらに機能障害や強い痛みがおこってしまいます。
(筋スパズム:神経学の分野では筋攣縮と呼ばれ、「断続的に生じる一定の持続時間をもった異常な筋収縮状態」とされている(理学療法ジャーナル44巻6号))
このような状態になると、痛みから逃れるために防御収縮が生じ、体に余計な力が入ります。
するとますますろっ骨の動きが固くなり、さらに周囲の筋肉が固くなり…、という悪循環に陥ってしまいます。
また、肋骨が固くなると知らずしらずのうちに呼吸が浅くなってしまいます。
呼吸が浅いと十分に酸素がとりこめず、自律神経の働きも悪くなるため、全身的に血行が悪くなりやすくなります。
それにより脳にも、痛みを感じやすくなってしまったり、意欲が減退したり、落ち込みやすくなったり、といった悪影響があらわれます。
とくに、脳には“疼痛抑制系”という痛みをやわらげる機能があるのですが、この働きが悪くなってしまうと、痛みを感じやすくなったり、痛みが治りにくくなったりして慢性化してしまうのです。
ろっ骨の動きが固くなるだけで肩こりや腰痛だけでなく様々な悪影響がおこり、治りにくくなってしまうのです。
今、肋骨が固くても安心してください。
誰でもできる簡単なストレッチや体操で柔軟性を取り戻すことができます。
今回は寝たままできる肋骨ストレッチをご紹介します。
ストレッチをする前に、クッションや座布団、丸めた毛布などをご用意ください。
マットをお持ちでしたら、半分ほど丸めた状態で使うとちょうど良いと思います。
ストレッチ 1
クッションや座布団、丸めたマットを肩甲骨の真ん中より上に行かないようににして背中に当て、仰向けになります。
そのまま両手を横に開きます。
この位置にクッション当てることで自然に肋骨が開きます。
そのまま身体の力を抜き、楽に大きく深呼吸をしてください。
なるべくろっ骨を大きく開くように息を吸い、楽に吐いていきます。
ゆっくりした呼吸を10回から20回ほどおこなってください。
(深呼吸をしようと意識しないで)
※この姿勢で顎が上がり過ぎてしまったり、頭が床につかない場合は枕を入れておこなってみましょう。
※首や肩などに痛みやその他症状がある場合、この姿勢をとると症状が悪化することがありますので、注意しておこなうか、またはこのストレッチをおこなわないでください。
ストレッチ2
次に、1の状態から両方膝を立て、両膝を左右にゆっくり倒します。
呼吸は楽に動きに合わせましょう。
10回~20回程度行ってください。
(左右で1回。まずは10回を目指しましょう。痛みやしんどさを感じたら回数を減らしても構いません。)
足だけを左右に倒すのではなく、脇腹のあたりからひねるように動かし、肋骨の動きを意識してください。
ストレッチ3
次に、片側に両膝を倒したままで、ゆっくり大きく深呼吸をします。
この姿勢で深呼吸をすることで、普段あまり動かない肋骨の部分が動く感覚があると良いです。(なければ、肋骨に意識を集中させるだけでも構いません)
5回~10回ほどおこなってください。
片側が終わったら、反対側も同じように行います。
最後に、また(1)の姿勢に戻って脚を伸ばし、楽に深呼吸を繰り返します。
5回~10回おこなってください。
ストレッチ1から3まで終了したら、クッションをはずして仰向けになってみましょう。
ストレッチをする前より呼吸が楽になったり、背中や腰が楽になったりする感覚があると良いです。
このストレッチを行うことで痛みが出たり、または痛みのためにこのストレッチ自体ができないようでしたら無理して行わないでください。
ぜひ試してみてください。
あなたが少しでも痛みや悩みから解放されて、楽しく楽な人生を過ごせますように。
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