60代以降になると膝が痛む方が多くなってきます。
日本だけでも2000万人膝が悪い人がい流と言われています。
なんと2人に1人は膝の痛みを持っていることになります。
膝の変形が進んでしまうと、真っ直ぐに立ったとしても膝が外に向くO脚や内に向くX脚になったりします。
そして、その痛みや変形がひどくなると手術を勧められます。
その手術の多くはTKA(total knee Arthroplasty)と言われる人工膝関節置換術という手術です。
膝が変形すると、膝関節の内側に普段以上に圧力がかかってやがて軟骨が潰れる。または骨が変形したまま歩かなきゃいけなくなります。この関節の面を人工物に変えて、関節を正常な位置に整えていきましょうという手術です。
手術すると関節面は人工物となります。当たり前ですが人工物には神経が通っていませんので関節由来の痛みはなくなります。
しかし、関節以外(靭帯や筋肉)はそのままですので、リハビリがうまくいかないとせっかく手術したのに痛みがとれていないなんてことになります。
また、この手術にはいくつかのリスクとデメリットがあります。
最も大きいリスクは感染症です。
手術は無菌状態で行われなければなりません。それは、人工物には血管がありませんので、一旦菌が入ると、そこで繁殖します。本来なら白血球など備わっている免疫が働いてくれますが、血流がないので免疫や白血球などがそこへ辿り着きません。
そして、人体にとって大きなダメージになるのです。
次に、手術は大きな傷ができるのと同じですので、強い炎症がみられます。
また、血管も切断することになるため、これに伴う循環不良や浮腫などが出現します。
他にデメリットとして、せっかく手術をしたのに痛みが残る、また、膝が最後まで曲がらない(大体120度ぐらいまで。自転車には乗れるが正座はできない角度)、そして、スポーツなど激しい運動は制限される(人工物なので消耗品となります。使うほどにちびて?いくからです)などがあります。
ここまでリスクとデメリットを挙げました。実際TKA(人工膝関節置換術)はリスクとデメリットのある手術になりますが、全国的に行われている手術です。
普段の生活であまりにも膝の痛みがある場合は、TKA(人工膝関節置換術)を行なった方がいいかもしれません。
私自身、TKA術後の患者さんが痛みなく、楽に過ごせるようになった患者さんをたくさん見てきました。
ただ、手術をする場合、しない場合どちらにしても、リスク・デメリットをしっかり把握した上で選択するということが大事だと思います。
手術をする・しない、どちらにしてもそのリスクやデメリットは、DrやNsそしてリハビリスタッフがチームとなって改善していきます。
手術をした場合は、術後翌日からリハビリが始まります。(術前からリハビリ指導が入る場合もあります)
膝関節の可動域を保ち術創部の循環を促すために、リハビリ以外の時間に病室のベッドの上で自動で膝を曲げ伸ばしする機器を用います。(正直痛いです)
術後は傷の痛みがあるので1から2週間ぐらいは薬を使ってコントロールします。
リハビリスタッフが毎日可動域訓練と筋力増強訓練を行なっていきます。
患者さんの状況によりますが、2から3ヶ月で退院になります。
入院期間は日本の保険制度で期間が決まっているので、その期間内で退院となります。
退院後は通院し経過を観察しながら必要であればリハビリを行います。
概ね3~4ヶ月で腫れも引いてきますが、血管も切断していますので、腫れやむくみが最後まで取れない場合もあります。
そして、人工膝関節に変えて痛みが取れても、筋力や歩き方がそのままだと歩き方はO脚になった時のままなので、またすぐに痛む(今度は筋や靭帯の負担から)ことになります。
できれば退院した後1年間(医療保険の制度上難しいですが、介護保険で行える場合もあります)はしっかりリハビリに取り組んだ方が良いでしょう。
人工膝関節になって痛みが起きなくなった、でも筋力が足りない。
こういう状態だと、あなたの体は膝を悪くする体のままなんですね。
せっかく人工関節を入れたのにまたO脚やX脚になってしまいます。
1年かけてしっかりリハビリを行えば、相当筋力がついてきます。もちろん歩き方の訓練も行います。
すると生活動作の不便はなくなり、歩行も快適になると思います。
人工関節入れても痛みがある場合は、大体筋力不足がほとんどです。退院後のセルフケア指導など、適切なリハビリを行える病院を選択しましょう。(主治医も大事ですが、術後のリハビリで経過は大きく変わります)
あなたが適切な治療を選択して、1秒でも早く痛みから解放され楽に過ごせるために参考にしてください。
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